WRAPとは
wrap
WRAPが日本に紹介されて以来、全国のWRAPファシリテーターたちの活躍により、WRAPの精神科領域での認知度は高まってきています。
こうした傾向は、WRAPのもつ「自分自身の健康と元気について主導権をにぎる力を与える」という理念が、
近年の徐々に高まりつつある精神科看護における「医療者主導から患者主体への変化」と軌を一にしているからかもしれません。
WRAPとはリカバリー(元気回復)に役立つツールです。 ABOUT WRAP
WRAP(ラップ)はアメリカの精神障害をもつ人たちによって作られたリカバリー(元気回復)に役立つツールです。日本語では「元気回復行動プラン」と呼ばれています。
「WRAP」は、
Wellness(元気)・Recovery(回復)・Action(行動)・Plan(プラン)の頭文字を取って「WRAP(ラップ)」。
精神的な困難を抱えた人たちが自分らしくあり続けるための知恵や工夫を蓄積して作られた、自分で作る自分のためのリカバリープランです。
自身も精神障害を持つメアリー・エレン・コープランド氏を中心に精神障害のある人たちによって作られ、現在、世界中で活用されています。
日本ではWRAP研究会が、「元気回復行動プラン」と翻訳しています。
元気でいるために、 そして気分がすぐれない時に元気になるために また自分で責任をもって生活の主導権を握り、 自ら望むような人生を送るために、 あなた自身でデザインするプランが「WRAP」です。
メアリー・エレン・コープランド
WRAPの成り立ち ORIGIN
自らがデザインする『自分のトリセツ(取扱説明書)』
1989年に深い抑うつと、コントロールの効かない躁状態に悩まされた時期を経て、メアリー・エレン・コープランドがはじめた調査がきっかけ。
127人ほどの人たちへのインタビューの結果から、その過程の中で簡単でとても安全でありながら人生を大きく変える力をもつアイディアや方法を使って生活している人たちがいることを知りました。リカバリー(回復)している人たちは、みんなそれぞれにそれぞれの工夫をしていたということです。
WRAPは、精神的な病を抱えつつも元気で生活をしている人たちに共通してみられていた意識の向けどころ「リカバリーのキーコンセプト(リカバリーに大切な5つのこと)」と、「元気に役立つ道具箱(生活の工夫)」をいつでも使えるようにする仕組みのことです。
自分自身でデザインする『自分の取扱説明書』とも言われています。
リカバリーに大切な5つのこと POINT
「希望」「自分の責任(主体性)」「学ぶこと」「自分を権利擁護すること」「サポート」の、5つがあります。
人がリカバリーをしている時、人は「希望の感覚」をもっていて、他者や環境に巻き込まれず、刺激に対して反射するのではなく、反応するための「主体的に選ぶ力」をもっており、自分には「学ぶこと」ができ、成長できるのだと自覚し、「自分の大切を、大切にするために伝える力」をあきらめることなく、他者と「サポート」し合える関係にある時、人は自分自身の人生や生活のなかでの困難なことがあっても、リカバリーのサイクルをまわしていきます。
逆に、自分には力がないと感じ、学ぶことや自分の意志を前に出すことをあきらめ、サポートに手を伸ばすことをためらっている時、リカバリーがうまく進んでいないかもしれません。
自分にとっての、「希望」「自分の責任」「学ぶこと」「自分を権利擁護すること」「サポート」を意識してみましょう。
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希望
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自分の責任(主体性)
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学ぶこと
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自分自身の権利擁護
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サポート
元気に役立つ道具箱 TOOL BOX
WRAPでは、リカバリーに必要な行動プランを「道具箱(ツール)」と呼んでいます。
道具箱の中身は人それぞれで異なります。またいつでも取り出して使うことができます。
たとえばこんなことがツールになります
・自分の好きなもの、好きな場所
・癒されるもの、安心できるもの
・活力を与えてくれるもの
・健康を保つもの、体にいいこと
・リフレッシュできるもの
・しない方がいいこと